
更年期と腰痛の意外な関係性
「最近、腰の痛みがひどくなった」「若い頃には感じなかった腰の重だるさがある」と感じることはありませんか?特に40代後半から50代の女性に多いこの症状、実は更年期と深い関わりがあるんです。
私は鍼灸師として多くの患者さんを診てきましたが、特に更年期を迎えた女性の方々から腰痛の相談を受けることが増えています。整形外科でのリハビリ経験や、海外のオステオパシー技術を学んだ経験から言えることは、更年期の腰痛には特徴があるということです。
更年期とは閉経の前後約10年間を指し、女性ホルモンの減少によって様々な身体の変化が起こる時期です。実はこの女性ホルモンの変化が、多くの方が経験する腰痛と密接に関連しているんですよ。
厚生労働省の調査によると、40代女性の約61%、50代女性の約67%が肩こりや腰痛などの痛みを訴えています。これは決して少ない数字ではありません。更年期による体の変化を理解し、適切な対策を取ることで、この辛い腰痛を軽減することができるのです。
更年期に腰痛が起こる5つの理由
なぜ更年期になると腰痛が悪化したり、新たに発症したりするのでしょうか?その主な理由を詳しく見ていきましょう。
1. 女性ホルモンの急激な減少
更年期の最大の特徴は、エストロゲンという女性ホルモンの急激な減少です。このホルモンは単に生殖機能だけでなく、骨や関節、軟骨の健康維持にも重要な役割を果たしています。
エストロゲンには骨の密度を保つ働きがあるため、その減少によって骨がもろくなり、脊椎の圧迫骨折などのリスクが高まります。また、関節や軟骨もエストロゲンによって守られていたのが、そのバリアが弱まることで痛みを感じやすくなるんです。
北米更年期学会の研究では、エストロゲンの欠乏が椎間板変性に関与していることが指摘されています。つまり、ホルモンバランスの変化が直接腰痛の原因になっている可能性が高いんですね。
2. 自律神経の乱れ
更年期になると女性ホルモンの減少に伴い、自律神経のバランスが崩れやすくなります。自律神経は体のあらゆる機能をコントロールしていますが、これが乱れると血流の悪化や筋肉の緊張を引き起こします。
特に腰回りの筋肉が緊張状態になると、血行不良が起こり、疲労物質である乳酸が筋肉中に溜まりやすくなります。これが腰の重だるさや痛みの原因となるんです。
また、自律神経の乱れは痛みに対する感受性を高めることも分かっています。今までは気にならなかった程度の刺激でも、痛みとして強く感じるようになるのはこのためなんですよ。
3. 血行不良
更年期になると血行が悪くなりやすいのも特徴です。これは女性ホルモンの減少と自律神経の乱れが影響しています。血行が悪くなると、腰椎や椎間板への栄養供給が滞り、椎間板の変性を促進します。
血行不良は筋肉の疲労回復も遅らせるため、一度こりや痛みが生じると長引きやすくなります。「朝起きたときの腰の重さがなかなか取れない」という症状も、この血行不良が関係しているんです。
特にデスクワークなど同じ姿勢を長時間続ける生活習慣がある方は、血行不良による腰痛のリスクが高まります。日常生活の中での小さな変化が、大きな痛みの原因になることもあるのです。
4. 筋力の低下
年齢を重ねるにつれて筋力は自然に低下していきますが、更年期にはその傾向がより顕著になります。特に腹筋や背筋など体幹を支える筋肉の衰えは、直接腰への負担を増加させます。
私の臨床経験からも、40代後半から50代の女性患者さんで、特に運動習慣がない方は、腰を支える筋力が弱っていることが多いです。筋力の低下は姿勢の悪化にもつながり、これがさらに腰痛を悪化させる悪循環を生み出すことになります。
また、筋力が低下すると日常生活での小さな動作—例えば重い物を持ち上げたり、長時間立ち続けたりすることでさえ—腰に大きな負担をかけることになるんです。
5. ストレスの影響
更年期は身体的な変化だけでなく、子どもの独立や親の介護、仕事の変化など、様々な環境の変化が重なる時期でもあります。こうした変化はストレスとなり、それが腰痛を悪化させることがあります。
厚生労働省の調査でも、日常的にストレスを感じている人ほど更年期症状が重い傾向があることが分かっています。ストレスは筋肉の緊張を高め、血行を悪くし、痛みへの感受性を上げるため、腰痛の悪化に直接影響するのです。
特に「仕事と家庭の両立」「将来への不安」などの精神的ストレスが強い方は、腰痛などの身体症状として表れることが多いんですよ。
更年期腰痛の特徴と見分け方
更年期による腰痛には特徴があります。一般的な腰痛と更年期特有の腰痛を見分けることで、より効果的な対策が取れるようになります。
更年期腰痛によく見られる症状
更年期の腰痛には以下のような特徴があります:
- 腰全体が重だるく痛む
- 朝起きたときの痛みや硬さが強い
- 長時間同じ姿勢でいると痛みが増す
- 天候の変化で痛みが変わる
- ストレスや疲労で痛みが悪化する
- 他の更年期症状(ホットフラッシュ、不眠、イライラなど)と一緒に現れることが多い
また、更年期の腰痛は「湿」タイプと「虚」タイプに分けることもできます。湿タイプは腰全体が重だるく痛み、虚タイプは腰に力が入らず疲れやすいという特徴があります。
私の臨床では、更年期の女性の腰痛は「朝起きたときの動き出しが特につらい」「気候の変化に敏感」という訴えが多いです。これは女性ホルモンの減少による自律神経の乱れが影響している可能性が高いんです。
注意すべき腰痛の症状
ただし、すべての腰痛が更年期によるものとは限りません。以下のような症状がある場合は、他の疾患の可能性も考えられるため、早めに医療機関を受診することをお勧めします:
- 足にしびれや麻痺がある
- 排尿や排便に問題がある
- 特定の動作で強い痛みが出る
- 安静にしていても痛みが強い
- 発熱を伴う腰痛がある
- 外傷後に腰痛が始まった
腰痛の約85%は原因不明とも言われていますが、中には椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症、腰椎すべり症などの疾患が隠れていることもあります。まずは整形外科を受診して、これらの疾患との合併症の可能性がないか確認することが大切です。
更年期腰痛を改善する5つの効果的対策
更年期による腰痛を改善するためには、女性ホルモンの減少に伴う体の変化に対応した対策が効果的です。ここでは、日常生活に取り入れやすい5つの対策をご紹介します。
1. 適度な運動で筋力アップ
腰痛改善の基本は、腰を支える筋肉を強化することです。特に腹筋や背筋などの体幹(コア)の筋肉を鍛えることで、腰への負担を軽減できます。
おすすめの運動は以下の通りです:
- ウォーキング(15〜20分から始め、徐々に時間を延ばす)
- 水中ウォーキングやスイミング(関節への負担が少ない)
- ヨガやピラティス(特に腰痛改善に効果的なポーズがある)
- 軽いストレッチ(朝起きたときや長時間同じ姿勢を続けた後に)
運動を始める際のポイントは「無理をしないこと」です。特に痛みがある時期は激しい運動は避け、痛みが落ち着いてから徐々に運動量を増やしていきましょう。
私が患者さんにお勧めしているのは、「毎日短時間でも継続すること」です。例えば、朝晩5分ずつのストレッチを毎日続けるだけでも、腰痛の予防や改善に大きな効果があります。
2. 食事と栄養の見直し
更年期の腰痛対策には、骨や筋肉の健康を支える栄養素の摂取が重要です。特に以下の栄養素に注目しましょう:
- カルシウム:骨の健康維持に必須(乳製品、小魚、緑黄色野菜など)
- マグネシウム:筋肉の緊張緩和に効果的(ナッツ類、海藻、玄米など)
- ビタミンD:カルシウムの吸収を助ける(日光浴、きのこ類、青魚など)
- タンパク質:筋肉の修復と維持に必要(肉、魚、大豆製品など)
- オメガ3脂肪酸:抗炎症作用がある(青魚、亜麻仁油など)
また、更年期には体質の変化に合わせた食事も大切です。温かい食事を中心に、体を冷やす食べ物(冷たい飲み物や生野菜のみの食事など)は控えめにすると良いでしょう。
私の臨床経験からも、食事の見直しで腰痛が改善したという患者さんは多いです。特に「朝食をしっかり摂るようになった」「冷たい飲み物を減らした」という小さな変化が、大きな効果をもたらすことがあります。
3. 温めて血行促進
更年期の腰痛の多くは、血行不良が関係しています。腰を温めることで血行を促進し、痛みを和らげる効果が期待できます。
おすすめの温め方は以下の通りです:
- 入浴(38〜40度のぬるめのお湯に15分程度)
- 蒸しタオル(電子レンジで温めたタオルを腰に当てる)
- カイロや温熱パッド(長時間の使用は低温やけどに注意)
- 腰を冷やさない工夫(腹巻の使用、腰回りを露出しない服装など)
特に寒い季節や冷房の効いた環境では、腰を温める工夫が重要です。「お風呂上がりに腰が楽になる」という方は多いですが、これは温めることで血行が良くなり、筋肉の緊張がほぐれるためです。
ただし、炎症を伴う急性の腰痛の場合は、逆に冷やす方が効果的なこともあります。自分の症状に合った方法を選びましょう。
4. ストレス管理と質の良い睡眠
更年期の腰痛にはストレスも大きく影響します。ストレスは筋肉の緊張を高め、痛みを悪化させるため、効果的なストレス管理が重要です。
ストレス軽減のためにできることは:
- 深呼吸や瞑想(1日5〜10分でも効果あり)
- 趣味や好きなことに時間を使う
- 適度な運動(ウォーキングやヨガなど)
- 十分な睡眠(質の良い睡眠を確保する)
- 無理をしない生活リズム(「ノー」と言える環境づくり)
特に睡眠は腰痛との関連が強いです。質の良い睡眠は筋肉の回復を促し、痛みの感受性を下げる効果があります。寝具の見直しや就寝前のリラックスタイムの確保など、睡眠環境の整備も大切です。
私の患者さんの中には、「寝る前にスマホやパソコンを見る時間を減らしたら、朝の腰の痛みが軽くなった」という方も多いんですよ。
5. 専門的なケアの活用
セルフケアだけでは改善しない場合は、専門家のサポートを受けることも検討しましょう。
活用できる専門的なケアには以下があります:
- 整形外科での検査と治療(必要に応じて)
- 婦人科での更年期障害の治療(ホルモン療法など)
- 鍼灸治療(血行促進や筋肉の緊張緩和に効果的)
- マッサージや整体(適切な施術で筋肉の緊張を緩和)
- 理学療法(個人に合った運動療法の指導)
- 漢方薬(体質に合わせた処方で全身のバランスを整える)
更年期の腰痛に効果的な漢方薬としては、「牛車腎気丸」「当帰四逆加呉茱萸生姜湯」「疎経活血湯」などがあります。これらは下半身の冷えや痛み、血行不良に働きかける効果が期待できます。
ただし、漢方薬は個人の体質や症状に合わせて選ぶことが重要です。自己判断での服用は避け、専門家に相談することをお勧めします。
更年期腰痛を予防するための日常生活の工夫
腰痛を改善するだけでなく、予防するための日常生活の工夫も大切です。特に更年期は体の変化に合わせた生活習慣の見直しが効果的です。
正しい姿勢と動作の意識
日常生活での姿勢や動作は、腰痛に大きく影響します。以下のポイントを意識しましょう:
- 長時間同じ姿勢を続けない(1時間に1回は姿勢を変える)
- 重い物を持つときは膝を曲げて腰に負担をかけない
- 座るときは深く腰掛け、背もたれを使う
- パソコン作業では画面の高さを目線に合わせる
- 寝るときは体に合った寝具を使い、横向きに寝るなら膝の間に枕を挟む
特に更年期以降は、若い頃と同じ動作や姿勢でも腰に負担がかかりやすくなります。体の変化に合わせて、動作や姿勢を少しずつ見直していくことが大切です。
体重管理の重要性
更年期は代謝が落ち、体重が増加しやすい時期です。体重増加は直接腰への負担となるため、適正体重の維持が腰痛予防に重要です。
体重管理のポイント:
- 急激なダイエットは避け、緩やかな体重調整を目指す
- 腹八分目を心がける
- よく噛んでゆっくり食べる
- 夕食は就寝の3時間前までに済ませる
- 甘い飲み物や間食を控える
- 日常生活に適度な運動を取り入れる
私の臨床経験でも、体重が3〜5kg増えただけで腰痛が悪化する方は多いです。特に更年期以降は、若い頃と同じ食事量でも体重が増加しやすいため、食事内容や量の見直しが必要になります。
心の健康と社会的サポート
更年期の腰痛対策には、心の健康も重要です。一人で抱え込まず、周囲のサポートを上手に活用しましょう。
心の健康を保つためのポイント:
- 更年期の体の変化を正しく理解する
- 家族や友人に自分の状態を伝え、理解を求める
- 同じ悩みを持つ仲間との交流を持つ
- 無理をせず、必要に応じて休息を取る
- 自分を責めず、できることから少しずつ取り組む
厚生労働省の調査でも、更年期の不調について「からだや心の不調をわかってほしい」と望む人は9割にのぼり、特に配偶者・パートナーの理解を求める声が多いことがわかっています。
周囲に理解してもらうためには、まず自分自身が更年期の変化について正しく理解し、必要に応じて専門家の意見も参考にしながら、具体的に伝えることが大切です。
まとめ:更年期腰痛と上手に付き合うために
更年期による腰痛は、女性ホルモンの減少に伴う様々な体の変化が原因で起こります。自律神経の乱れ、血行不良、筋力の低下、ストレスなどが複合的に影響して、腰の痛みや重だるさを引き起こすのです。
更年期腰痛の改善と予防のためには、以下の5つの対策が効果的です:
- 適度な運動で筋力アップ(特に体幹の筋肉強化)
- 食事と栄養の見直し(カルシウム、マグネシウム、ビタミンDなど)
- 温めて血行促進(入浴、温熱療法など)
- ストレス管理と質の良い睡眠
- 必要に応じた専門的なケアの活用
これらの対策に加えて、正しい姿勢と動作の意識、適正体重の維持、心の健康と社会的サポートの活用も大切です。
更年期の腰痛は「年だから仕方ない」と諦めるものではありません。適切な対策を取ることで、多くの場合は症状を軽減し、生活の質を向上させることができます。
私が日々の臨床で実感するのは、更年期の腰痛に悩む女性でも、自分の体の変化を理解し、生活習慣を少しずつ見直すことで、多くの方が症状の改善を実感されるということです。
あなたの体は一つしかありません。更年期という人生の転換期を、腰痛に悩まされることなく、健やかに過ごすためのヒントとして、この記事が少しでもお役に立てば幸いです。
もし腰痛の症状が強く、日常生活に支障がある場合は、まずは整形外科を受診して、適切な診断を受けることをお勧めします。そのうえで、更年期特有の症状が疑われる場合は、婦人科や更年期外来などの専門医に相談することも検討してみてください。
更年期は終わりではなく、新たな人生のステージの始まりです。腰痛に負けず、これからの人生をイキイキと過ごしていきましょう。
アクセス(店舗情報)
店舗名 | 伊丹くすのき整体院 |
代表 | 荻埜 滉大(おぎのこうた) |
店舗住所 | 〒664-0886 兵庫県伊丹市昆陽東3丁目4-1 |
電話番号 | 072-747-0703 |
営業日、営業時間 | 月・水~日:8時30分~12時00分(火・日午後は定休日) 15時00分~20時00分 |

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