
現代人の生活に欠かせないスマートフォン。通勤中や休憩時間、さらには就寝前まで、私たちは常にスマホを手にしています。しかし、その便利さの裏には、知らず知らずのうちに健康を蝕む大きな問題が潜んでいるんです。
特に腰痛との関連性は見過ごせません。日本では約2,800万人もの方が腰痛に悩まされているという現実があります。その原因の一つが、実はスマホの使い方にあったのです。
私は鍼灸師として、整形外科でのリハビリ勤務や整骨院、鍼灸院での経験を通じて、多くの腰痛患者さんを診てきました。最近では特に「スマホ姿勢」が原因と思われる腰痛相談が増えています。
この記事では、スマホ姿勢が引き起こす5つの問題と、すぐに実践できる改善法をご紹介します。毎日の小さな習慣の変化で、腰痛から解放される未来へと一歩踏み出しましょう。
スマホ姿勢が腰痛を引き起こすメカニズム
スマホを見るとき、あなたはどんな姿勢をとっていますか? 多くの方は無意識のうちに前かがみになり、首を下に傾け、背中を丸めた状態でスマホを操作しているはずです。この姿勢、実は腰にとても大きな負担をかけているんですよ。
人間の頭の重さは約5kg。通常の姿勢なら、背骨がS字カーブを描いてこの重さをうまく分散しています。ところが、スマホを見るために首を15度前に傾けるだけで、首にかかる負担は約12kgに増加。さらに45度傾けると、なんと約22kgもの負担がかかるというデータもあるんです。
この状態が続くと、どうなるでしょうか? 首の筋肉が緊張し、その緊張が肩、背中へと連鎖的に広がっていきます。そして最終的に腰に大きな負担がかかり、腰痛を引き起こすというわけです。
さらに厄介なのは、スマホを見ている時間が長くなればなるほど、この負担が蓄積されていくこと。MMD研究所の調査によれば、日本人のスマホ使用時間は1日平均3~4時間。10代女性に至っては1日10時間以上使用している人が1割もいるんですよ。これはかなりの負担が腰にかかっていると考えられます。
では、スマホ姿勢が具体的にどのような問題を引き起こすのか、詳しく見ていきましょう。
スマホ姿勢が引き起こす5つの問題
1. 猫背による背骨のゆがみ
スマホを長時間使用していると、自然と猫背の姿勢になりがちです。この猫背姿勢が続くと、本来S字カーブを描いているはずの背骨のバランスが崩れてしまいます。
早稲田大学スポーツ科学学術院の金岡恒治教授によれば、背中が丸まった姿勢になると、頭を支えるために「僧帽筋」の上部に負担がかかり、肩こりの原因になります。また、重心が前方へ移動するため、前に倒れないように上体を後ろへ引っ張る「脊柱起立筋」の活動も高まり、この筋肉の使いすぎによる腰痛を引き起こすとのこと。
さらに怖いのは、こうした姿勢を日常的にとり続けると、背骨の前方の椎体への荷重負荷が増え、骨粗鬆症で骨が弱くなっている人は脊椎圧迫骨折を起こす危険性があることです。骨折が起きると背骨は後ろに曲がり、重心はさらに前に移動して、最終的には歩行ができなくなる可能性すらあるんです。
2. 前傾姿勢による腰への過度な負担
スマホを見るときの前傾姿勢は、腰に大きな負担をかけます。前かがみになると、腰椎(腰の骨)に通常の3倍以上の圧力がかかるといわれています。
この状態が長時間続くと、腰椎の椎間板が圧迫され、クッションの役割を果たせなくなってしまいます。その結果、椎間板ヘルニアや腰椎すべり症などの深刻な腰の疾患を引き起こす可能性があるんです。
特に立った状態でスマホを操作する「立ちスマホ」の場合、無意識のうちに片足に重心をかける「休め」の姿勢になりがちです。この姿勢では骨盤の左右の高さが崩れ、腰の筋肉のバランスが悪くなり、腰痛のリスクがさらに高まります。
3. 反り腰の悪化
スマホを使用する際の姿勢の問題は猫背だけではありません。特に寝転がってスマホを使う「寝スマホ」の場合、うつ伏せの姿勢をとることが多いのですが、これが「反り腰」を引き起こす原因となります。
反り腰とは、腰が過度に反った状態のことで、猫背とは逆の問題です。うつ伏せでスマホを使用すると、腰が反ってしまい、腰椎に大きな負担がかかります。この姿勢が習慣化すると、腰痛が慢性化する原因になりかねません。
また、長時間のパソコン作業やスマホ操作による前傾姿勢の負担を軽減しようとして、無意識に反り腰になっていることも多いんです。反り腰になると骨盤が前に傾き、背骨が腰のあたりから反り返り、背骨本来のS字カーブが崩れてしまいます。
4. 骨盤のゆがみ
スマホ使用時の姿勢は、骨盤のゆがみも引き起こします。特に座った状態でスマホを操作する際、ついつい足を組んでしまう方も多いのではないでしょうか。
足を組む姿勢は、骨盤を傾かせ、背骨の湾曲を変化させます。この状態で長時間過ごすと、骨盤と背骨に負担がかかり、肩こりや腰痛の原因となります。
また、椅子に座るときに背もたれに寄りかかる姿勢も要注意です。この姿勢では骨盤が後ろに倒れ、背中や腰の筋肉が引っ張られて腰痛が起きやすくなります。特にオフィスや学校の椅子にもたれかかるのが好きな方は気をつけましょう。
5. 筋肉のアンバランスと血行不良
長時間同じ姿勢でスマホを使用していると、特定の筋肉ばかりを使い続けることになります。これにより、筋肉のアンバランスが生じ、一部の筋肉が過度に緊張し、別の筋肉は弱まってしまいます。
また、同じ姿勢を長時間続けることで血行も悪くなります。血行が悪くなると、筋肉に十分な酸素や栄養が行き渡らず、疲労物質が蓄積されやすくなります。これが腰痛や肩こりの原因となるんです。
さらに、血行不良は体の冷えにもつながります。体が冷えるとさらに血行が悪くなるという悪循環に陥ってしまうんですね。
これらの問題は、スマホの使い方を少し工夫するだけで大きく改善できます。次は具体的な対策方法を見ていきましょう。
スマホ姿勢による腰痛を改善する5つの方法
1. 顔の高さにスマホを合わせる
スマホを見るときは、下を向いて画面を覗き込むのではなく、スマホを顔の高さまで持ち上げるようにしましょう。これだけで首や腰への負担を大幅に軽減できます。
具体的には、スマホと顔の距離は30cmほど離し、目線とスマホの高さを合わせるのがベストです。片手でスマホを持つ場合は、反対の手で腕を下から支えると、肩や腕の負担も減らせます。
この姿勢のメリットは以下の通りです:
- 首や腰に負担がかからず腰痛予防になる
- 疲れにくくなる
- 見た目の印象も良くなる
背中が丸まらないように、わきはしっかり閉めて、頭から背中が一直線上になることを意識しましょう。この小さな習慣が、腰痛予防には大きな効果をもたらします。
2. 座る姿勢を正す
椅子に座ってスマホを操作するときは、背もたれからこぶし1個分ほど空けて座りましょう。これにより骨盤がしっかり立ち、体幹のインナーマッスルも活性化します。
この座り方のメリットは以下の通りです:
- 骨盤が立つので腰痛が軽減される
- 姿勢が良くなる
- インナーマッスルが活性化する
- ぽっこりお腹も引っ込みやすくなる
ただし、良い姿勢を意識するあまり、胸を張りすぎないように注意しましょう。ハト胸のようになると反り腰が強くなり、これもまた腰痛の原因となります。肩甲骨を軽く引き寄せながら、肩やみぞおちはリラックスさせるのがコツです。
3. うつ伏せでのスマホ使用を避ける
寝転がってスマホを使うとき、特にうつ伏せの姿勢は避けるべきです。うつ伏せでスマホを使用すると、腕や肩に余分な力が入りやすく、また腰が反ってしまうため腰痛のリスクが高まります。
うつ伏せの主なデメリットは:
- 腕や肩に負担がかかる
- 腰が反って腰痛になりやすい
どうしても寝転がってスマホを使いたい場合は、仰向けになることをおすすめします。うつ伏せよりは腰への負担が軽減されますが、それでも長時間の使用は避けた方が無難です。最近では寝ながらスマホを固定できるスタンドも販売されているので、活用してみるのも一つの方法です。
ただし、寝ながらのスマホ使用は目との距離が近くなりがちなので、眼精疲労を起こさないよう適度な休憩を取ることも大切です。
4. 定期的なストレッチで筋肉をほぐす
長時間スマホを使用した後は、筋肉の緊張をほぐすためのストレッチが効果的です。特に胸や肩、腰のストレッチは腰痛予防に役立ちます。
簡単にできる胸のストレッチは以下の通りです:
- 両手をカラダの後ろで組む
- ボールを挟むように肩甲骨を寄せる
- 心地よい強さで10秒キープする
- いったん脱力する
- 2~3回繰り返す
肩こりを和らげる巻き肩ストレッチも効果的です:
- 手を握手の形にする
- 脇の下から包むようにぐっとつかむ
- 親指を肩のコリがある位置にあてる
- 気持ちよい強さで押しながら肩を回す
- 手を入れ替えて反対側も同様に行う
また、反り腰を改善するためのストレッチとして、以下のエクササイズもおすすめです:
- ベッドの端に浅く腰かけ、上半身をあおむけに寝かせる
- 片方の足の膝を両手で抱えて胸のほうに引き寄せる
- もう一方の足は床から上げる
- この状態で1分程度キープする
- 反対側も同様に行う
これらのストレッチは、スマホ使用による筋肉の緊張を和らげ、腰痛予防に効果的です。日常生活の中で、短時間でも定期的に行うことをおすすめします。
5. 使用時間の管理と定期的な休憩
スマホによる腰痛を防ぐ最も簡単な方法は、使用時間を管理し、定期的に休憩を取ることです。具体的には、以下のような工夫が効果的です:
- 「スマホを見てもいい時間」と「スマホを見ない時間」を決める
- 1時間に1回は立ち上がって軽く体を動かす
- 食事中やお風呂など、スマホを使わない時間帯を設ける
- 就寝前のスマホ使用を控える(ブルーライトの影響も考慮)
- スマホのタイマー機能を活用して使用時間を制限する
特に就寝前のスマホ使用は、ブルーライトの影響で脳が覚醒し、睡眠の質を低下させる可能性があります。寝る1時間前からはスマホの使用を控えるのが理想的です。
また、スマホを置いて適度な運動をすることも大切です。20~30分程度の無理のないウォーキングは、全身の血行を促進し、腰痛予防に効果的です。このとき、背筋を伸ばしてS字姿勢を意識しながら歩くことで、骨や関節を正しく整える効果も期待できます。
スマホ姿勢改善のための日常生活での工夫
デスク環境の整備
オフィスでの長時間作業による腰痛を防ぐためには、デスク環境の整備も重要です。特に以下の点に注意しましょう:
- 背骨をしっかり支えるオフィスチェアを選ぶ
- パソコンスタンドを活用して画面を目線の高さに合わせる
- 腰用クッションやフットレストを活用して姿勢を安定させる
- デスクの高さを調整して、肘が90度になるようにする
これらの工夫により、デスクワーク中の姿勢が改善され、腰への負担が軽減されます。また、長時間同じ姿勢でいることを避け、定期的に立ち上がって軽く体を動かすことも大切です。
就寝環境の見直し
腰痛予防には、就寝環境の見直しも効果的です。特に以下の点に注意しましょう:
- 適度な硬さのマットレスを選ぶ(柔らかすぎると腰が沈み込む)
- 横向きで寝る場合は、膝の間にクッションを挟む
- うつ伏せでの就寝は避ける(腰に負担がかかる)
- 枕の高さを調整して、首のS字カーブを維持する
また、寝る前にはリラックスできるストレッチや軽い運動を行うことで、筋肉の緊張をほぐし、質の良い睡眠を促進することができます。
日常動作での注意点
日常生活のちょっとした動作が、実は腰痛の原因になっていることもあります。以下のような点に注意しましょう:
- 重いものを持ち上げるときは、膝を曲げて腰ではなく足の力を使う
- 急な動きを避け、動作はゆっくり行う
- 長時間の立ち仕事では、片足を少し高い台に乗せて休ませる
- 買い物袋は両手に均等に分ける
- 財布や小物は、できるだけ軽量化して持ち歩く
これらの小さな工夫が、日常生活での腰への負担を軽減し、腰痛予防につながります。
腰痛が慢性化したときの対処法
専門家への相談
自己対処で改善しない腰痛や、日常生活に支障をきたすほどの強い痛みがある場合は、専門家への相談をおすすめします。以下のような医療機関が選択肢となります:
- 整形外科:腰痛の原因を詳しく調べ、適切な治療を行う
- 整骨院・接骨院:骨格や筋肉のバランスを整える
- 鍼灸院:東洋医学の観点から、体全体のバランスを整える
- 理学療法士:適切な運動療法やストレッチを指導してもらえる
専門家に相談する際は、いつから痛みが始まったか、どのような動作で痛みが強くなるかなど、症状について詳しく伝えることが大切です。
セルフケアの継続
専門家の治療を受けながらも、日常的なセルフケアを継続することが重要です。以下のようなポイントに注意しましょう:
- 処方された薬や湿布を適切に使用する
- 指導されたストレッチや運動を継続して行う
- 姿勢の改善を意識し続ける
- 十分な休息と質の良い睡眠を確保する
- ストレスを溜め込まないよう心がける(ストレスも腰痛の原因になる)
腰痛の改善には時間がかかることもありますが、焦らず継続的なケアを心がけることが大切です。
生活習慣の見直し
腰痛の根本的な改善には、生活習慣全体の見直しも重要です。以下のような点に注意しましょう:
- バランスの良い食事で適正体重を維持する(肥満は腰への負担増加)
- 適度な運動を習慣化する(特に体幹を鍛える運動が効果的)
- 喫煙を控える(喫煙は血行不良を引き起こし、腰痛を悪化させる)
- 水分をしっかり摂取する(脱水は椎間板の機能低下につながる)
- ストレス管理を行う(瞑想やヨガなどのリラクゼーション法を取り入れる)
これらの生活習慣の改善は、腰痛だけでなく全身の健康増進にもつながります。
まとめ:スマホと上手に付き合い、腰痛から解放される生活へ
スマホが生活に欠かせないものとなった現代社会において、完全にスマホを使わない生活は現実的ではありません。大切なのは、スマホと上手に付き合いながら、腰への負担を最小限に抑える工夫をすることです。
この記事でご紹介した5つの問題点と改善法をおさらいしましょう:
- 猫背による背骨のゆがみ:顔の高さにスマホを合わせる
- 前傾姿勢による腰への過度な負担:座る姿勢を正す
- 反り腰の悪化:うつ伏せでのスマホ使用を避ける
- 骨盤のゆがみ:定期的なストレッチで筋肉をほぐす
- 筋肉のアンバランスと血行不良:使用時間の管理と定期的な休憩
これらの対策は、特別な道具や高度なテクニックを必要とせず、日常生活の中で簡単に実践できるものばかりです。小さな習慣の積み重ねが、腰痛のない健康的な生活につながります。
また、すでに腰痛に悩まされている方は、セルフケアだけでなく、必要に応じて専門家の助けを借りることも大切です。整形外科や整骨院、鍼灸院などの専門家に相談し、適切なアドバイスを受けましょう。
私たちの体は、日々の小さな習慣の積み重ねで作られています。今日からスマホの使い方を少し変えるだけで、未来の腰痛リスクを大きく減らすことができるのです。ぜひ、この記事で紹介した方法を試してみてください。腰痛のない快適な生活が、あなたを待っています。
最後に、健康は一朝一夕で得られるものではありません。継続的な意識と取り組みが大切です。今日から少しずつ、あなたの「スマホ姿勢」を見直してみませんか? それが腰痛撃退への第一歩となるはずです。
アクセス(店舗情報)
店舗名 | 伊丹くすのき整体院 |
代表 | 荻埜 滉大(おぎのこうた) |
店舗住所 | 〒664-0886 兵庫県伊丹市昆陽東3丁目4-1 |
電話番号 | 072-747-0703 |
営業日、営業時間 | 月・水~日:8時30分~12時00分(火・日午後は定休日) 15時00分~20時00分 |

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